親方との再会(2)

 ドス恋!くぼうちでごわす。先日偶然に再会した親方は、10年近くのご無沙汰だったでごわすが、落ち着いたということは全くなく、それどころか勢いを増していたように見えたのでごわす。
「まあ、くぼうちちゃんてのはアレだな。コツコツ真面目にやってもなんかヘンなのに引っかかるところがあるからよ」
「そ、そのとおりなのでごわす。しかし親方は今までどんな活動をしていたのでごわすか。もう随分前にテキストサイトからすっかり身を引いていたように見えたのでごわすが」
「まあ、表向きはそうかもしれねえなぁ。先行者以降はすっかりテキストサイトの様相も変わって、今までのテキストサイトのやり方じゃ食えなくなってきたからよう」
「え、親方はテキストサイトを本職としてきたのでごわしたか?!」
「いや、女子の話な」
「あ、そうでごわすか・・・」
「他の奴らはその後メッセやらmixiやらに移行してったんだけどよ、俺はもう興味なくなってヤメちまったよ。blogもやってねえし」
 親方は続けたのでごわした。
「だいたいテキストサイトを本職ってなんだよ。それで飯喰うってのかい? 別に飯喰いたくてサイトやるワケじゃねえだろう」
「で、でも大手サイトの中には読者から応援金とか、別コンテンツとか用意しているかたもいるでごわす」
「俺がサイトをやってたのは読んでくれる人がいたからだよ。お前さんだってそうだったろうが。サイトやって女子にモテたい、ってそんなことも言っていたが、じゃあ野郎から読まれてたら意味ねえってのかい? そんなはずはなかったはずだぜ?」
「そ、そうでごわす」
「俺はテキストサイトでいい目を見てきたし、女もさんざん食ってきたさ。でもさ、それってのはサイト読者と俺が対等な関係だから成り立ったことなんだよ」
 おいどんには親方の言っていることがよくわからず、きょとんとしてしまったのでごわす。
「まだわかんねえかな。じゃあさ、たとえば今まで仲よかった友達がいたとして、ある日から突然遊ぶのが有料になったとしたらどう思うよ?キャバクラみてえに1時間6000円とかなったらよ」
「うっ、それは・・・」
「逆だったらいいんだよ。最初からキャバ嬢として遊んでて、それが店外とかになるとかだったらよ。だって遊ぶのに金かかるってわかっていたわけだからさ。でもよ、最初友達だと思っていた女の子が実は俺から金取りたいと思われてたんだとしたら、悲しいよな」
「で、でもサイト管理人だってテキストを作るのに膨大な時間をかけているのでごわす。その労力というのもあるのでごわす」
「そりゃわかるさ。俺だってサイトを作るのに膨大な時間がかかったさ。またサーバ借りたりツールを使うんだってタダってワケじゃない。自分のリソースを切り売りしてサイトを運営してるんだよ。でもさ、友達と遊ぶのに金かかるからって、その友達に請求する奴なんていないだろ・・・」
 親方はそう言った刹那、親方のボケットから着メロが流れたのでごわす」
 ♪げんきいっぱいぱい〜のラオックス
 ♪たのしさいっぱいぱ〜いのラオックス
 親方は大好きなラオックスのCMソングを着メロにして使っていたのでごわすな。
ラオックスでごわすか!」
「着フルだぜ?」
 親方はそういうと、携帯電話を取り、どうやら闇社会らしき人との通話を少々していたのでごわす。その内容は聞きたくなかったので耳を塞いでいたのでごわす。通話が終わると、親方はすまねえな、という素振りをしてからこう言ったのでごわす。
「くぼうちちゃん、ちょっとヤボ用ができてな。もう出なきゃならねえ。ホントはもっと話したかったんだが、今度ゆっくり話せねえかな?」
 ニッコリ笑って話す親方に誰が断ることができようでごわすか。いやないでごわす。反語でごわす。
「も、もちろんでごわす!連絡先を教えてくださいでごわす!」
 おうよ、と親方はいうと、今使っていた携帯から手慣れた操作で赤外線送信をしたのでごわす。おいどんはあまりこういうことになれていないので、受信に手間取ってしまったのでごわす。そしておいどんの連絡先も送信すると、親方は携帯をしまいながら話したのでごわした。
「まあ、これでくぼうちちゃんともまた連絡が取れるな。近いうちに飲みでもしようぜ。昔話に花を咲かせようじゃねえか」
「飲み会にいきたいでごわす!よろしくなのでごわす!」
 そして親方と別れ、家路に着いたのでごわした。
 早速親方に挨拶のメールを送ろうと連絡帳を開いていると、詳細情報からURLらしきモノがでてきたのでごわす。アレ? 確か親方はblogもやってないはずでは・・。
 気になったのでPCを立ち上げ、親方がやっているらしいサイトにジャンプしてみたのでごわす。こ、これは親方のサイトで間違いないのでごわす。だって、記事の最後には"Posted By 親方"って書いてあるし・・。
 し、しかしこのサイトは企業バナーがメチャメチャ多く、ブログのサイドには楽天Amazonのおすすめ商品がズラリと並んでいたのでごわす。
「こ、これは・・アフィリエイト
 親方はコアなアフィリエイターだったのでごわした。親方の中ではどうしてそうなるのかはわからないのでごわすが、直接お金を払ってもらう事は断固として許さないのでごわすが、アフィリエイトに関してはアリというか、かなり進歩的というか、ドップリはまっているようなのでごわした。