高田さんとの出会い(2)

「くぼうちさん、好きとか、嫌いとか、最初に言い出したのは誰なんでしょうね」
 駆け抜けてゆく高田さんの思いは、そんな言葉をつぶやいたのでごわした。
「実は、大手ゲームメーカから極秘で委託されまして。この事はメーカの人間でも知っているのはごく少数です。」
「そ、その大手ゲームメーカーって、、、」
「今は言えません、しかし近いうちに製品化されればわかるでしょう。まあ、お察しの通りですよ」
「しかしなぜ、極秘なのでごわすか?」
「今までの恋愛シミュレーションのレベルを遙かに超えているからです。」
 高田さんは続けたのでごわした。
「そもそもゲームはゲーム機もしくはPCでやるものでした。入力デバイスはコントローラもしくはマウスといったところでした。しかしよく考えてください。実際の恋愛ではコントローラは使いません。そこでタッチペンを使った操作が出始めました。さらにWiFiを使い、通信機能もゲームに取り込み始めています。これは第二世代といってもいいでしょう。これは3年は持つと考えられています。しかし我々が進めているのはその次の世代、第三世代の開発なのです。」
 高田さんは続けたのでごわした。
「今回のゲームはデータをカートリッジに納めません。ゲームデータはすべてクラウド化します。ゲームサーバはゲームデータを元にイベントを起こす起こすようになります。これにより今までになかったリアリティを演出することが可能になるのです。」
クラウドがリアリティの演出でごわすか」
「ええ。例えばデートの予定を組んだとします。このデータは自動的にカレンダー情報としてサーバにも記録されます。iPhoneのカレンダーと同期すれば、デートの間近になればアラートされるでしょう。ゲームで起こっている事が、現実のツールでも起こるのです。」
 高田さんの語尾が次第に熱くなっているのを感じたのでごわした。
「また、デート場所では実際に赴いてもらいます。しかも決められた時間に。そうでないと、デートをすっぽかしたことになります。」
「し、しかし実際に行かなければならないなどうやってわかるのでごわすか。」
「携帯のGPS機能を使います。また、時刻はサーバの時刻を基準とするため、端末の時間をいじってもごまかせません。」
 おいどんは、なんだかめんどくさいゲームのように感じたのでごわした。
「しかし。。それはかなり束縛されるゲームになるのでは。。。」
「そこなんですよ」
 高田さんは遮るように言ったのでごわした。
「そもそも恋愛というものは束縛があってしかるべきなのです。相手の都合もあるから夜中に会うわけにもいかない。出かけるにしても時刻は守らなければいけない。段取りを取っておかないと楽しいデートはできない。しかしそれがリア充ってものじゃないですか?」
 り、リア充。なんだか気になるワードが出てきたのでごわした。(続く)